ゴー宣DOJO

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切通理作
2014.12.5 23:49

「インタステラー」な議論を!

『本多猪四郎 無冠の巨匠』についてブログで

小林さんに触れて頂いて、本当に感激です。

 

戦争の問題も、科学をめぐる命題も、

本当は先送りされているだけで、

なんら解決されたわけでも

問題が薄まったわけでもない。

 

過去の映画はよかったという話だけではなく

「いま」に直につながる本を書きたいと思いました。

 

小林さんのブログの中に『インタステラー』という文字を

見た気がするのですが、

小林さんはこの映画をご覧になったのでしょうか?

 

僕は非常に面白かったです。

この映画は「坂の上の雲を目指すのではなく、

坂の下の畑を耕す」ことを選んだ人類の姿から

始まります。

 

宇宙開発を象徴とする「科学」は

誤った迷信とされ、

学校で教える事すら

タブーになっています。

 

しかし人類滅亡の危機に処するためには

科学的思考に結局は頼らなければならない事に

主人公が再び向き合っていく――

それがこの映画の序章部分です。

 

SF映画の現在系としてとても刺激的な始まりです。

 

生涯科学的思考を手放さなかった

本多猪四郎さんは、人類はいつかは滅びるんじゃないかと

いう話をしていて、精子の形で遠い宇宙に運ばれ

種として生かすという未来のあり方も

射程に入れられていましたが、
クリストファー・ノーラン監督の

『インタステラー』でも中盤になって、

そのことが出てきます。

 

そして、人間は

「人類という種を精子として未来に残す」

事よりも

「見知った人間を含む『いま』の人々のために命を捧げる」

事の方に熱意を持ってしまう生き物かもしれない

ということが提示され、

その二つの間での葛藤が中盤の主軸になります。

 

その葛藤がどう止揚されるのかは

ロードショー公開中なので

バラす事は控えさせていただきますが、

 

この葛藤は、

まさに倫理と道徳の間の葛藤でも

あると思います。

 

身近な人を救いたいという「道徳」と、

より大きな歴史の中で物事を見る「倫理」。

 

どちらがウソでどちらがホントなのか、

局面局面で裏返って、

最後までせめぎ合いが描かれているのがとても

刺激的な映画でした。

 

岡田斗司夫さんも、宇宙開発グッズの

コレクターとして知られ、

宇宙開発に興味のある人だと思いますので

そうした意味でも
身近な事から巨視的な事まで
ウの目タカの目で

当日議論が出来るのではないかと

楽しみにしております。

 

それにしても

「暗闇の安寧に身を委ねるな。人生の最後の最後まで

怒りを忘れるな」という、映画の中に繰り返し出てくる言葉、

まさに小林さんの生き方と重なるなと、思って

見ていました。

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切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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